2017年6月30日金曜日

6月の勉強会

遅くなりましたが6月の勉強会の記録です

1.臨床麻酔科学会誌から、
「ビーチチェア体位でのトラブル報告」と、「デスフルラン&レミフェンタニルによる覚醒の早さ」という2報をまとめていただきました


麻酔に関連する日本語の学術誌のうち
J-STAGEというHP上で”臨床麻酔学会誌”は無償公開されております
若いDrの勉強にとざっと目を通して興味ある報告をまとめていただきました。


ビーチチェアの体位では、頭部が心臓よりも高いために
虚血になる可能性がある・・・
という希な希な報告です。
めったにおこらないことですが、いろんな施設の経験をもとに
安定した麻酔管理を心がけます。

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2.局所麻酔薬中毒


全身麻酔の手術においても、
硬膜外麻酔や神経ブロック、または手術野で
リドカインをはじめとする局所麻酔薬を使います。


Naチャネルをブロックすることで効果を発揮する局所麻酔薬は
心臓にも悪影響を及ぼすこともあり、
神経毒性・心毒性に注意しながら使用しております。

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3.救急救命士による挿管の検討


当院の手術室では、京都市の救急救命士の挿管実習が行われています。
病院実習を受ける前に各自かなりトレーニングを積んできており
実習修了後は救急車でそれぞれ活躍されているようです。


今回は、京都市の救急車での挿管の状況と
フローチャートなどを纏めて提示していただきました。

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4.手術中の異常低血圧

全身麻酔の手術中に異常な低血圧を呈した症例の報告です。


手術中の低血圧というと、出血や麻酔によるアナフィラキシーなどが
麻酔科の頭の中にぱっと思い浮かぶのですが、


今回は、手術当日も内服継続されていた
降圧薬(高血圧の治療薬)によるものと推測されました。
薬剤の効果はやはり個人差があるようで、
たまに麻酔中の血圧管理に難渋するかたがおります。


2017年6月1日木曜日

京都市立病院 5月のまとめ


新任の先生がたも病院業務に慣れてきて
5月からは手術枠(麻酔科枠)を拡張しております


局所麻酔の部屋も含めて、すべての手術室が使用中という日も
しばしばあります
(今まで受け入れてきた緊急手術をどうするかという
問題がでてきておりますが・・・)


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5月の勉強会の記録です

1.頚部膿瘍患者さんの麻酔


4月に耳鼻科の頚部膿瘍の緊急手術がありました
頸に膿が溜まる疾患ですが、
麻酔科的には人工呼吸ができるか否か非常にシビアな状態です



画像は参考資料ではありますが
実際の患者さんも頚部が腫脹し、
声帯も偏位して挿管が困難となっております




挿管もさることながら、はたして抜管できるのか?
抜管後に再挿管となったらどうする?
といった観点でのお話でした

2.続・POISEトライアル

周術期にβブロッカーを投与すると心筋梗塞が減少するか?
というPOISEトライアルの紹介を前回おこないましたが


今回は周術期にアスピリンを投与するとどうなるか?
というPOISE2トライアルの紹介です



結果としては、周術期の出血量が増えることにより
心臓イベントの発生には変化がなかったということになりました


POISE2トライアル自体は数年前の論文でしたが
昨年麻酔科領域で、サブグループ解析の論文が2つ発表されましたので
そちらも併せての紹介となりました

3.オピオイド使用中の患者の麻酔

がん性疼痛に対してオピオイド(麻薬)を
継続的に使用することが一般的になっておりますが



そういった患者さんも夜中に虫垂炎の手術を受けたりいたします
そんなとき、
オピオイドの内服ができなくなるけど・・・
手術中の麻薬の量はどうしたらよいのかな・・・



ということで、
今回の症例検討となりました