2018年9月27日木曜日

麻酔科専門医研修プログラム


9月のラストは麻酔科専門医研修プログラムのお知らせです

京都市立病院の麻酔科では
年々増加する手術に対応するため
継続してスタッフを募集しております


また、麻酔科学会の”麻酔科専門医研修プログラム”に参加しており
京都では数少ない基幹病院の一つとして機能しております


詳しくは学会HPから専用のページを参照していただきたいのですが
来年度の勤務先を探している研修医の皆様の目に留まれば


と思ってのご紹介でした



2018年9月25日火曜日

京都市立病院麻酔科9月のブログ

9月の勉強会

今月は月曜祝日があるため勉強会は少なめです

①脊髄くも膜下麻酔に伴う神経障害

俗に言う"下半身麻酔"は脊髄くも膜下麻酔と言われ
100年以上も前から背骨の注射は行われているようです



術前外来ではおよそ10000人に一人という形で説明はしておりますが
麻酔手技・薬剤による神経障害が発生する可能性があります



といっても、あくまで可能性であって
ほとんど発生することはありませんので過度な心配はなさらぬようにお願いします

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②前置胎盤/早期剥離/羊水塞栓

定期的(?)に話題に上る、産科出血のお話です



今回は、他病院での実例を元に
産科大量出血ガイドライン2010→2017への改訂のお話や
トランサミン・フィブリノゲンの重要性といったお話でした



産科大量出血時には、ともかく輸血とフィブリノゲン製剤をということで
当院の手術室内には冷蔵庫に常備しております

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おまけ


年度の途中ですが、今月は人の出入りがありました
ベテラン麻酔専門医の先生が新しく来られました♪
今月で産休に入られる先生です
ゆっくり専門医試験の勉強がんばってくださいねっ♪


2018年9月3日月曜日

9月は支部集会ですが

9月1日は麻酔科学会の関西支部学術集会が開催されました
当院からも、"麻酔中のKONIS症候群"の症例を発表いたしました


5月の年次集会に次いで麻酔科医には重要な学会で
たくさんの症例報告が勉強できるのみならず
専門医の更新に必要な講習会などが開催されます
日々精進が必要です



2018年8月28日火曜日

麻酔科8月の記録

8月も麻酔科には大きなイベントはありません
夏休みを交代で取得しつつ、
お盆期間も手術室は平常運営しておりました

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8月の勉強会の記録

①ロボット手術の麻酔

京都市立病院では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」が導入されて5年の月日が経ちました
当初は前立腺の手術に使うだけだったロボットも、
今では胃がん・腎がん・肺がんなど毎日のように働いてもらってます


麻酔科としては特殊な体位や高い胸腔内圧に負けないように
人工呼吸管理や循環管理に気を遣う日々ではあるのですが・・・
ダヴィンチ以外も含めて"ロボット手術"が今回のテーマでした


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②ASA-PSについて

ASA(アメリカ麻酔学会)が定義するPS(身体状態)をもとに
麻酔科は患者さんの重症度を6段階で把握しています
リスクによって合併症のリスクが変わってきます





おおざっぱに言えば
"PS1=健康"なかたから
"PS2=喫煙者、高血圧"のあるかた
"PS3=糖尿病や心臓疾患"など持病をもつかた
といった感じになります

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③ダブルルーメンチューブの挿管困難

京都市立病院では呼吸器外科の症例が豊富にありまして
DLT(ダブルルーメンチューブ)の挿管も毎日のようにあります




左肺と右肺を分離して人工呼吸するのに必須の道具ですが
こんかいは"チューブがどうしても入らない!"といった症例の検討会でした




片肺換気をするにはブロッカーという道具もあるのですが
肺がしぼみにくいためにあまり使う機会がありません
でも今回に限っては2番手の備えがあってよかったよかった
という症例でした


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④筋弛緩・再クラーレ

手術中は"エスラックス"という筋弛緩薬を使用して
手術終了時に拮抗薬を投与します




拮抗薬の量が少ないと、
一旦血中の筋弛緩薬が拮抗されたのちに
組織に溶けていた薬剤により再度血中濃度が上昇するといった状況があり注意喚起となりました




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⑤地方会の予行演習

以前から勉強会で取り上げていた
"KONIS症候群"を来月の麻酔科学会関西支部集会で発表することになりました

麻酔科志望の研修医さんがプレゼンターとしてスライド作りを頑張っております



2018年7月31日火曜日

KyotoCityHospital 7月の勉強会の記録

7月の勉強会の記録です

①気管分岐異常
気管分岐異常により片肺換気に難渋した症例の報告です



息を吸い込むための肺は左右に分かれており、
気管も左右の二叉に分かれているのが通常であるのですが



毎週のように呼吸器外科の手術をしていると、
図の様に右の上葉の気管支が手前から分岐している症例に出会います
注意深く術前CTを見ていたり術中気管支ファイバー所見で発見できるのですが
意外なところに落とし穴が、というところです

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②周術期のシバリング対策

手術中は麻酔&環境によって低体温になる
アミノ酸輸液の勉強会の続き・・・という位置づけです



寒いとき、体がブルブル震えて止まらない
・・・これをシバリングといって、
人間の体温管理の正常な反応です



手術後にも一定の頻度で震える方がいますが
酸素消費量の増加につながるため
いかにこれをコントロールするかも
麻酔科の腕の見せ所です

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③AS患者の麻酔

AS・・・大動脈弁狭窄症
心臓疾患の一つですが、AS患者さんの全身麻酔は
麻酔科的に非常に気を遣うところです

今回は実例を元に、若手向けの勉強会を行いました


2018年7月17日火曜日

KyotoCityHospital 7月の記録


麻酔科7月の行事?はペインクリニック学会です
当院でも院内紹介によるペインクリニック診療を実施しており
麻酔科から若干名学会参加いたしました


周術期における痛みのコントロールの手技を
手術に関わらず痛みを持つ患者さんへ提供できるよう
日々精進しております

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また、手術室とは直接的な関わりはありませんが、
緩和ケア科に「麻酔科専門医・ペインクリニック専門医・緩和医療専門医」の資格を持つ
新しい部長が赴任されております



皆様どうぞよろしくお願いします


2018年6月30日土曜日

KCH 6月の勉強会の記録


6月の勉強会の記録です

①PRISレビュー


全身麻酔およびICUで頻用される
麻酔科医にとってはお馴染みのプロポフォールですが
投与量によっては"メリット<副作用"となることがあります




2015年の論文紹介と、
改めての注意喚起ということで勉強会に取り上げました

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②CVCガイドライン

中心静脈カテーテルについて
2017年に学会から発表されたガイドラインの紹介です




一時期に比べると手術中にCVCを入れることが少なくなりましたのが
麻酔科医の基本手技としてはやはり必須の技術です



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③続・KOUNIS症候群

アナフィラキシー症候群に伴う急性冠症候群という珍しい病態で
症例検討会は行いましたが




世界的にも頻度の少ない症候群であるということで
海外の文献をもとに勉強会をおこないました



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④意識下(ファイバー)挿管の質的評価

全身麻酔中は全員が人工呼吸の管理となりますが
その管をどのタイミングで挿入するかは病態によって人それぞれになります


今回は意識のある状態で人工呼吸の管をいれた患者さんにおける
その後の記憶etcの質的評価という論文の紹介でした



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⑤続・続・妊婦の非産科手術

シリーズ3回目となる
妊婦さんの手術&麻酔です

妊婦さんでなくとも、全身麻酔には副作用の可能性が1万人に1人程度はありますが
麻酔薬の胎児への影響だけでなく
お母さんへの配慮もいつもよりも慎重にといった内容です


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⑥SAT・SBTトライアル

今回は、ICU領域から
Spontaneous Awakening Trial
Spontaneous Breathing Trial


ICUで人工呼吸をつけている患者さんには早期の安全な抜管を目標に
SAT・SBTを毎日おこなっております


"しっかり目が覚めて、しっかり呼吸ができるか"
病院ごとのプロトコルがあり、
当院での抜管時の成績などを評価していただきました



2018年6月8日金曜日

KCH6月の記録

6月

麻酔科関連では
今月は特に大きなイベントがありません・・・

年度末に注文していた書籍が届きました


小説みたいに読みやすい本と


厚めのガイドラインやマニュアル類
ICU関連の書籍が多かったです


麻酔科領域もこんな感じで
研修医向けとプロフェッショナル向けが入り交じっておりますが
麻酔の前後にぱっと手にとって見られるように配置しております

2018年5月31日木曜日

市立病院麻酔科 5月の勉強会の記録

京都市立病院麻酔科
5月の勉強会の記録です



①麻酔器・気化器のトラブル

麻酔器にはデスフルランを投与するための気化器が装着してありますが
古い麻酔器ではその後にでてきた電子麻酔記録のモニターと干渉しておりました


たまに吸入麻酔薬が投与されないというトラブルが起こり、麻酔科は大慌て
(もちろん別の麻酔薬を投与するので手術には問題はありませんが)



・・・ということもありまして
当院では今年から麻酔器を新しい機種に一新し、一安心というところです

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②硬膜外カテーテルの迷入

全身麻酔は意識をとる/意識が無くなる麻酔ですが
手術後の痛み止めの効果がありません
ですので開腹手術の際は硬膜外麻酔という脊椎のカテーテルを入れますが


脊椎には、くも膜下腔/硬膜外腔の2つのスペースがあり
硬膜外カテーテルがくも膜下へ迷入した論文を勉強会で取り上げました


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③咽頭外傷の麻酔・挿管

4月から新しく来た専攻医さんに、
過去の経験で困った症例ということで発表していただきました



頭部外傷(咽頭部)の患者さんに、挿管して全身麻酔をするといった内容でした

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④抗血小板薬と血栓症


血栓症は抑制したいが、出血は困る
というレビュー論文の紹介がありました




出血があるときに速やかに止血機序が発動することはたいへん有り難いことです
但し、止血が過剰になりすぎると体のあちこちで血栓症がおこります




麻酔科といっても手術中に凝固因子を輸血したり、
血栓予防のヘパリンを投与したりするので
血栓症にも詳しくないといけません

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⑤アミノ酸輸液

全身麻酔による手術中は、麻酔による自己の温度調節の喪失に加えて
手術室のHEPAフィルターからの送風などによりどんどん体温を奪われます



温風加温装置なども使用しますが、
体内から暖める方法としてアミノ酸輸液が有効と言われており
勉強会の題材に取り上げていただきました



2018年5月28日月曜日

市立病院麻酔科 5月のブログ


毎年恒例ですが、5月には麻酔科学会の総会があります

今年の麻酔科学会は4年ぶりに横浜でした
当院からの発表報告はありませんが、
専門医の維持・更新のためにほぼ全員参加が必須となります



当院からもほぼ全員参加して、
リフレッシャーのセミナーや専門医講習などを受けております


2018年4月30日月曜日

市立病院麻酔科 4月の勉強会の記録

京都市立病院麻酔科
4月の勉強会の記録


①続・続・妊婦の非産科手術

妊娠中に、外科的手術が必要となった症例がテーマの勉強会です



胎児への麻酔薬一般の影響のほかに



検査のX線の影響etcこのテーマでの話題はまだまだ続きます

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②アナフィラキシー&KOUNIS症候群


全身麻酔中には1万人に1人ほどですが、
アレルギー(アナフィラキシー)反応を起こす方がおられます
今回は、KOUNIS症候群の検討会でした


実際に経験した心電図の変化ですが、
電子情報としてちゃんと記録が残っていることは
あとから振り返りをする上でたいへん有り難いことだと思います

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④神経麻痺(頭頸部)

当院では耳鼻科・整形外科などの頭頸部の手術がたくさんあるため
一定の確率で頭頸部の神経麻痺を起こす可能性があります
挿管に関連することもあるため勉強会で取り上げてもらいました。

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⑤DVT・VTE患者の再発率について

DVTに関する論文紹介です


当直明けの時間などを利用して、大学施設で血小板研究をされているH.Drから
いつも血小板についての最新知識を教えていただいております


DVTのリスクについてというお話でした

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⑥心停止と臨死体験

今回の勉強会は
麻酔科というか医師というか人間として興味深いテーマの論文の紹介です



海外で、心停止後に復活した患者さんを対象に
その間どんな記憶が残っているかという研究でした



なかなか調査するのも難しい内容ですが
興味のあるかたはNearDeathExperimentで検索を・・・